平成19年7月

改正 パートタイム労働法の内容と対策
 
 
T主な改正点
 
1.労働条件の文書交付・説明(2008年4月1日施行)
 
@パートタイム労働者を雇う場合には、昇給、退職手当、賞与の有無についての労働条件を明示した文書の交付をしなければならない(義務規定)
賃金の決定、計算及び支払方法、締切日、支払時期* 違反の場合は30万円以下の罰金*
昇給、退職手当、賞与の有無をつき文書で交付等による明示を義務化(改正パート労働法) 違反の場合は10万円以下の過料
(改正パート労働法)
*労働基準法による書面交付による明示義務(第15条)
 
A前記@以外の安全衛生、職業訓練等に関する事項についても、文書の交付等により明示するように努めなければならない(努力義務)
 
2.均衡のとれた待遇の確保の促進(2008年4月1日施行)
 
(1)次の3つを全て満たす短時間労働者には、差別的取扱いが禁止(義務)
@職務の内容(業務の内容と責任の程度が通常の労働者と同じである。
A人材活用のしくみと運用(職務の内容及び配置が通常の労働者と同じ範囲で変更される見込み)全雇用期間を通じて通常労働者と同じある。
B雇用契約期間に定めがない労働契約(一定回数更新している有期雇用契約も含む)を締結している
 
…「差別的取扱い禁止」の規定が対象となる者は、全短時間労働者のうち4〜5%と想定   (厚生労働省資料)。
(2)前記(1)以外の短時間労働者については、能力や経験などを勘案して賃金(通勤手当、退職手当等を除く)を決定するように努めなければならない(努力義務)
 
…賃金(通勤手当、退職手当を除く)とは、基本給、賞与、役職手当、精勤手当など職務関連手当のこと(厚生労働省資料)。
 
(3)職務遂行に必要な教育訓練については、通常の労働者と同様に短時間労働者に対しても実施しなればならない(義務)
 その他の教育訓練についても、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、能力や経験などに応じて実施するように務めなければならない(努力義務)
(4)通常の労働者と同様に、健康の保持、業務の円滑な推進に役立つ福利厚生施設(例…給食施設、休養施設及び更衣室等)を短時間労働者にも利用する機会を与えるよう配慮しなければなりません(配慮義務)
 
保養所等の事業場外にあるレクリエーション施設は対象外(第69回労働政策審議会雇用均等分科会議事録)。
短時間労働者の職務の内容等に応じた待遇
  短時間労働者の職務の内容等
判断
要件
 
職務の内容
 
通常労働者
と同じ
通常労働者
と同じ
通常労働者
と同じ
異なる
 
人材活用のしくみ(人事異動の有無・範囲) 全雇用期間を通じて同じ 一定期間は同じ
 
異なる
 
異なる
 
契約期間
 
無期*、反復更新で無期と同じ 要件なし
 
区分ごとに求められる待遇  賃金 職務関連賃金
(基本給、賞与、役職手当等)
差別的
取扱い禁止

 
通常の労働者と同一の方法により決定する努力義務 職務の内容、職務の成果、意欲、能力を勘案し、決定する努力義務  職務の内容、職務の成果、意欲、能力を勘案し、決定する努力義務
退職金、家族手当、通勤手当 義務・努力義務なし
 
教育訓練 職務遂行に必
要な能力付与
実施義務  実施義務 職務の内容等に応じ努力義務
他の教育訓練(自己啓発の目的等) 職務の内容、職務の成果、意欲、能力及び経験に応じ努力義務
福利厚生 健康保持、業務の円滑な推進に資す 配慮義務
  
その他(慶弔見舞金、社宅等) 義務・努力義務なし
 
*無期…「雇用期間の定めのない」
 
3.通常の労働者への転換の推進(2008年4月1日施行)
通常の労働者への転換の促進を図るため、次のいずれか一つの措置を講じなければならない(義務)
    @求人情報(通常の労働者)短時間労働者に提供する。
    A通常の新たに配置を行う場合には社内公募の機会を与える。
    B通常の労働者への登用制度等(一定の資格を有する短時間労働者に試験制度など) 
 
…(採用)を一本釣り、あるいはヘッドハンティング等で行うことについて何ら支障をきたすようなものではない(第69回労働政策審議会雇用均等分科会議事録)。

 
4.短時間労働者への説明義務(2008年4月1日施行)
短時間労働者から説明を求められた場合には、前記1.、2.、3.等の短時間労働者の待遇を決定するに当たって考慮した内容を説明しなければならない(義務)
 
5.苦情処理・紛争解決援助(2008年4月1日施行)
(1)事業主が上記1.〜4.の措置事項、禁止事項に関する苦情の申出を受けた時は、自主的に解決するように努めなければなりません(努力義務)
 
男女雇用機会均等法と同様、人事担当者等による相談等で対応していく形でも良いと考えている(第70回労働政策審議会雇用均等分科会議事録)。 
(2)前記(1)で自主的に解決できない紛争が生じた際は、紛争解決援助(都道府県労働局の紛争調整委員会による調停・調停案の受諾勧告、都道府県労働局長による助言・指導・勧告を行う。

Uもっと詳しく
 
1.差別的取扱いの禁止の用件の詳細
 
(1)次の3つを全て満たす短時間労働者には、差別的取扱いが禁止(義務)
@職務の内容(業務の内容と責任の程度が通常の労働者と同じである。
A人材活用のしくみと運用(職務の内容及び配置が通常の労働者と同じ範囲で変更される見込み)が通常労働者と同じある。
B雇用契約期間に定めがない労働契約(一定回数更新している有期雇用契約も含む)を締結している
…「差別的取扱い禁止」の規定が対象となる者は、全短時間労働者のうち4〜5%と想定   (厚生労働省資料)。

 
(2)前記@「職務の内容」が同じかどうか?(H15年パートタイム労働指針から推定)
 
(ア)個々の作業の幅組み合わせを比較して判断する。
職務の内容が同じ 職務の内容が異なる
作業後の清掃など臨時的・付随的な作業に違いが正社員とパートタイム労働者にある場合
 
作業の幅や組み合わせが大きく異なる場合
例…正社員にはパートタイム労働者の行う作業に加えて、生産計画の策定、顧客対応なども行うような場合
(イ)トラブル発生時や臨時・緊急時の対応、ノルマなどが、同じように職務上の「責任」として含まれているかを考慮するとともに、与えられた権限の範囲についても考慮する。
また、作業を行うに当たって必要最低限の能力や難易度、複雑度などの「職務レベル」、さらに、肉体的・精神的負担などの「労働の負荷」なども「職務が同じ」かどうかの判断基準となる。
職務の内容が同じと考えられる場合 職務の内容は異なると考えられる場合
クレジット会社のカード会員申込者の審査業務の場合
正社員だけでなくパートタイム労働者に対しても職能資格制度を導入し、一定の資格等級に達したパートタイム労働者に対しては、正社員と同様の
責任・権限を持つ最終判断業務を任せている
スーパーマーケットの例
販売員A(パートタイム労働者)と
販売員B(正社員)は、接客、レジ業務は同じように行っている。
さらに販売員B(正社員)には
在庫管理・発注の作業やクレーム処理対応がある場合
 
 
(3)前記A人材活用の仕組みや運用が同じかどうか(H15年パートタイム労働指針から推定)
 
(ア)人事異動の幅頻度役割の変化(責任・権限の重さの変化)人材育成のあり方など、労働者が時間的経過の中でどのような職務経験を積む仕組みがあるのかということと、その仕組みが実際に運用されているかについて実態を見て判断する。
(イ)「人事異動」には転勤だけでなく、同じ事業所内の異動や異なる職種への異動も含まれ、その範囲を「として比較する。
(ウ)「頻度」については、単に回数だけを比べるのではなく、その「幅」とも関連して見ることが必要。
(エ)「人材育成のあり方」は、時間的経過の中で、労働者にどのような職務経験を積ませていく仕組みがあるかについて、制度化または慣行化され客観的に把握できるものによって見ていくことになる。
「人材活用の仕組みや運用など」の
   実態が異なると考えられる場合
「人材活用の仕組みや運用など」の実態が    異ならないと考えられる場合
 X社の経理部の場合
 正社員の中には経理部以外の勤務経験のない正社員もいる。しかし、このような正社員でも、部内で異なるラインの仕事を経験しながら役割が変化するとともに、社内横断的なプロジェクトのメンバーに入るなど一般的に様々な職務経験を積んでいる。
 パートタイム労働者Aは、担当事務や異なるラインでの仕事を経験したことがない。
 電機メーカー工場の場合
 現場の正社員は、生産体制の変化に伴って配置されるラインが変わる異動はありますが、他の工場への異動は実態としてない
 パートタイム労働者Aは、正社員と同じラインに配置され、生産体制の変化に伴って正社員と同じように溶接・組立・修理のラインへの配置換えもされてきた。また、ラインに配属された新人への業務指導も正社員と同様に行ってきた